障害のある人たちが音楽で交流
「韓国と日本の間には、過去の歴史的ないきさつや、さまざまな面で考え方のちがいがあります。でも、それを乗り越えていくのが市民交流の力です」(金さん)
「ふれあい共生塾」の生徒を中心に、共鳴する地域の人たちが集まって生まれた「ナヌンセ※ 」。韓日の市民が文化を通じてふれあう場を、いくつもつくってきました。
7年前から続けているのが、障害のある人たちの音楽交流。今年6月には、知的障害のある子どもとその親の和太鼓サークル「どん舞」が韓国・済州島に渡り、障害者施設「愛徳の家」を訪ねて太鼓演奏を披露しました。
「重い障害のある子も『韓国って最高やなぁ!』と、目を輝かせて楽しんで…。親どうしも交流したんですが、韓国の親たちは、日本の親子が楽しく太鼓演奏をしている姿を見て、大きな勇気をもらったそうです。おたがいに刺激しあえた旅でした」(康さん)
ふれあう機会をもっと広げたい
「ナヌンセ」がめざすのは、市民どうしの心と心のつながりをつくること。
これまで韓国の舞踊団の公演や、障害のある人たちが競演する演奏会を企画してきましたが、舞台の演出もチケットの販売も、すべて地域の人たちの手づくり。韓国から来た人には「ナヌンセ」メンバーの家でホームステイしてもらい、親身につきあいます。こうした心の通い合う交流が、平和を築く力にもなると、金さんと康さんは確信しています。
「私たちは、顔を見知っている友人に敵意を向けることはできません。韓日が微妙な関係にあるのは、おたがいを知らないから。だから、ふれあう機会をもっと広げていきたい。ふれることで人は変わるんです」(康さん)
※「ナヌンセ」とは、「私は鳥」「飛ぶ鳥」という意味の韓国語。
古語では「明日」という意味がある
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