加熱水蒸気の特徴のひとつとしては、食品を温めるスピードが速いことが挙げられる。
通常のオーブンでは、高温にした空気で食品を温めているが、水蒸気は同じ重さの空気に比べて2倍の熱を持っている。つまり、温度の低い食品に渡す熱が多いので、効率よく温まるというわけだ。
さらに、水蒸気加熱の効率の良さには、もうひとつの秘密があった。それは凝縮熱といわれるものだ。温度の低いものに水蒸気を吹き付けると、表面に水滴が付く。水蒸気が水に戻っているわけだが、このとき非常に多くの熱が発生するため、食品の温度が100度(水蒸気が凝縮する上限)に達するまでは、特に素早く温めることができる。
また、このとき食品の表面に付いた水(凝縮水)は、表面に付いた余分な塩分や内部から溶け出してきた油を洗い流すため、健康面でも良い効果が期待できるという。
もちろん、通常の蒸し料理も可能だ。野菜を蒸してみると、水蒸気の温度が「焼き料理」の時ほど高くないので、初めのうちオーブンの窓が水蒸気で曇って、水蒸気によって加熱していることが実感できる。
加熱水蒸気を使って野菜を調理すると、健康面でのメリットもある。ビタミンCが酸化されたりゆで汁に溶け出したりして、失われてしまうのを防ぐという効果が確かめられた。
庫内に水蒸気が充満しているため、酸素が追い出され、ビタミンCが酸化されにくくなるのだ。ゆでたり従来のオーブンで加熱したりすると、6割以下までに減ってしまうカボチャやブロッコリーのビタミンCが、加熱水蒸気による加熱では、9割前後残っていた。
いいのはよくわかった。しかし12万円か……、ちょっと手が届かないなあ。 |