金芝河さんのお話を伺うのは今回で3回目。
「今、私が立っている場所」というテーマの講演は、緊張しつつ、ともかくノートには書きとめた。大母が理解するにはもうしばらく時間が必要。
後半で、1970年代、韓国軍事政権による金芝河氏・死刑宣告反対・助命嘆願をされた鶴見俊輔氏、小田実氏、宮田毬栄さん達からの当時の生々しい報告には圧倒された。
軟禁されていた病院を訪れた鶴見さんに対して「あなたは私を助けることは出来ない。私は抵抗を通してあなたを助ける」とコングリッシュで話された三十数年前の発言内容。
修正します……Thank You Very Much。許してください……と会場で話される金芝河さんの顔にやっと笑顔が出てきた。
死刑判決の中、密かに日本に持ち出された原稿。紙と鉛筆を渡した看守が居たということですと中央公論・宮田毬栄さん。そして、持ち出してくれた人達が居たということです。
密かに届く金芝河さんの原稿から言葉の持つ力を感じ、出版し続けてきた。爪の跡で文字が綴られていたという原稿の凄さに突き動かされたという先輩諸氏。
京大会館でのひとときは忘れられない一場面として記憶に残っていくことだろう。
(注) コングリッシュ=韓国なまりの英語