ソウルに帰る車は、再び自由路を走ります。行きと同じ路なのに、道路に沿って設けられている鉄条網、監視小屋の兵士、戦車が配置されている箇所のそばを通過する気分は複雑です。
以前と比べると緊張が緩和されてきたと言われていても、初めて訪れる者には緊張感がつきまといます。
昨年3月に亡くなられた唐辛子生産者チャン・トョンさんの故里は北朝鮮でした。今年の6月に来日された奥様オー・ジョンジャさんからチャン・トョンさんが「故里の食べ物が食べたい」と療養中の病院で話されていたことをお聞きしたことがありました。
個人の意思ではどうすることも出来ない厳しい分断の現実。「望郷」という言葉では表せない深い悲しみが、半世紀をこえて今もあることをチャンさんの言葉に感じます。
大雨に霞む鉄条網。6カ国協議が中国で開催されている最中の分断の地訪問となりました。
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