親に手を引かれ、浴衣姿で街中に飾られた飾り山笠見学に出かける。忙しい仕事の合間に両親が連れ出してくれる博多山笠の一夜は懐かしい思い出となっている。
山笠は中州を中心に住む人たちの祭り。大母が産まれ育った街は武家屋敷街の一角。祭りの主にはなり得ない。しかし、商人街に住む縁者が居れば、保証人有りと認められ参加することはできる。
ただし、男達だけ。兄達は博多のど真ん中に住む伯父夫婦に付き添われて参加した経験がある。
夜の外出禁止、祭りに行くには親と一緒………なにかと厳しい娘時代を過ごした分、博多祇園山笠への想いは悲しい記憶とともに蘇ってくる。
博多を離れて30年数年。厳しい局面に立たされると蘇ってくるのが「博多祇園山笠」と「博多祝いめでた」を歌う男衆の姿………
30数年振りに遭遇した博多祇園祭りの一瞬。遠い記憶の中で響いていた祭りの雑踏の音や気配………。土砂降りの雨に打たれながら、大母の魂にしっかりと記憶し直してきた昨日。元気が沸いてきた。不思議だが元気が沸いてくるのです。
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