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2004-12-22

第2回・エスコープフォーラム

「死ぬ日まで天をあおぎ」
ユン・ドンジュ

2003年2月28日
  

1995年2月16日、同志社大学で小さな記念碑の除幕式が行われた。「尹東柱詩碑」……それが記念碑の碑銘である。

尹東柱(ユンドンジュ)のことは,もう記すまでもないかも知れない。韓国では大きな評価を受ける国民的詩人である。延世大学を卒業後、渡日、立教大学と同志社大学に留学し、敗戦の半年前に獄死した。2月16日は彼の命日である。


 

彼が投獄された理由、それは当時使用を禁じられていた朝鮮語(ハングル文字)で詩を書いたことが、治安維持法違反とされたからであった。日本に支配され踏躙されている祖国・朝鮮。詩人であった彼は、そんな祖国・自民族に対する想いと「大日本帝国」への抗議の意志から、自民族の誇りであるハングルによる詩作を重ねた。

            序   詞      (1941.11.20)
   死ぬ日まで 天(そら)をあおぎ
   一点の恥じることなきを
   葉あいを 縫いそよぐ風にも
   わたしは 心痛めた
   星を うたう心で
   すべて 死にゆくものたちをいとおしまねば
   そして わたしに与えられた道を

   今宵も 星が 風に  むせび泣く


 

星を見上げて想うこと。祖国では多くの人々が痛みを負わされている。生きるという営みを踏み躙られている。でも自分はこうして生きている。風に揺られる木の葉の音を聴いている、そのこと自体が心苦しい。だからこそ「星をうたう心」で失われゆく人々をいとおしみ、自分の進む道を歩まねばなせない………。そんな静かな決意が漂う。

生き延びる道はあった。ハングルでの詩作などしなければよかったのだ。そういうことをすればとんな目に会うのか、よく分かっていたはずだから。でも彼はやめなかった。そしてそのために捕らえられ、「生きる」という営みを無理やり奪い取られてしまった………。

けれども彼のその短い生と死は、そしてこの短い詩の言葉は、「ほんとうに生きる」とはどういうことなのか、それを僕らに問いかけている。

3年前、この詩に曲をつけた。時折コンサートなどでも歌わせていただいている。今年の2月16日の夜、星を見上げながら、この歌を歌わせてもらおう。
                                  (2000年1月26日  川上盾)
 


昨年、車牧師からユン・ドンジュという詩人の存在を教えて頂きました。早速、金ピョンジン先生にお尋ねし、「死ぬ日まで天をあおぎ」「十字架」の2作品を日本語に訳して頂きました。息子と同世代での獄死しかも福岡で………。気になる存在となっていきました。

今年1月10日、神戸学生センターでユンドンジュの詩に曲をつけた川上盾さんのコンサートが開催され、金スジョンさんを誘って行ってきました。

昨年FIFAワールドサッカー開催で韓国・日本の若い世代の交流が急速に始まっている。しっかりと見つめなければならない歴史を一足飛びに越えて行きかねない中で、CD発売を思い立ったという川上盾さん。

彼が奏で歌うユンドンジュの世界、純粋な青年の想いが伝わり、熱いものがこみ上げてきました。
 

大母の周辺でもこの企画ができないものか………。フォーラム企画に参加される韓国の方々にも聞いていただける機会として今回の実現にご協力いた抱いた皆様ありがとうございました。今回は内部学習として開催しましたが、会場での反応は予想を越えて大変好評でした。次回の一般企画開催への見とおしと手応えを持つ事ができました。


翻訳・通訳と大変お世話になりました金ピョンジン先生。

山形・高畠の小林和香子さん 何も知らずに会場につれて来られた彼女の涙が印象的でした。

韓国・原州医療生協のチェさん 日本の中で、ユンドンジュのことを真剣に語ってくれていることに感謝します………和香子さんの涙に感激したと別れ際に言ってくれました。

ハングル講座の大先輩上田さんは、ハングル語でユンドンシ゜ュの詩を学んでいらっしゃいます。

韓国でユンドンジュの詩を歌っている歌手とのジョイントをしては如何ですか、と嬉しそうな車牧師

韓国の皆様からは楽譜がほしいとの要望が出され、帰国までに川上盾さんが届けてくださることになりました。堺周辺での広がりを模索しての企画だったのですか、一足飛びに韓国との企画になるかもしれませんね。
 

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