星を見上げて想うこと。祖国では多くの人々が痛みを負わされている。生きるという営みを踏み躙られている。でも自分はこうして生きている。風に揺られる木の葉の音を聴いている、そのこと自体が心苦しい。だからこそ「星をうたう心」で失われゆく人々をいとおしみ、自分の進む道を歩まねばなせない………。そんな静かな決意が漂う。
生き延びる道はあった。ハングルでの詩作などしなければよかったのだ。そういうことをすればとんな目に会うのか、よく分かっていたはずだから。でも彼はやめなかった。そしてそのために捕らえられ、「生きる」という営みを無理やり奪い取られてしまった………。
けれども彼のその短い生と死は、そしてこの短い詩の言葉は、「ほんとうに生きる」とはどういうことなのか、それを僕らに問いかけている。
3年前、この詩に曲をつけた。時折コンサートなどでも歌わせていただいている。今年の2月16日の夜、星を見上げながら、この歌を歌わせてもらおう。
(2000年1月26日 川上盾)
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