質問を交えながらの話しは続いていきます。
明治時代にネイチャーと言う言葉がヨーロッパから入ってきた。その時にヨーロッパの自然観に基づいた自然環境(人の手が加わらないことだという誤解)が日本の中で大混乱を招いてきた。
日本では、人間が作ったたんぼからしか生まれない生き物、ただの虫たちの存在が日本の風物詩を作ってきた。日本の自然観・一木一草に基づいた農民の行為が忘れられている。日本人の自然観を根本から作り変えなければならない。
白鳥の餌は、田圃の落穂やひこばえ。白鳥の飛来は百姓あってのこと。そのことを自慢しない百姓。
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宇根豊さんとお会いするのは3回目です。初回は泉北生協時代の学習会。当時は、福岡県農業改良普及員つまり県の職員でした。農薬使用奨励農業普及者と言っても過言ではなかった1970年代の農業現場で、疑問を持ち始めた宇根さんの脱農薬行動が始まります。
農薬に頼るだけではなく、下敷きを大きくしたような「虫見板」を使い、田圃や畑の虫の生態を理解すれば減農薬栽培ができることを実証して行かれました。
2回目は10年程前、久留米大学で開催されたエントロピー学会で槌田先生の講演会の会場でお見かけしました。
農業と環境への考察 を続けてきた宇根さんは50歳で県庁を退職し、仲間とともに「農と自然の研究所」を設立。10年間という区切りを設け、農業の危機に対して最後の闘いを挑む宇根豊さん。後ろから応援してくれる消費者として生協の組合員に向けて熱い語りは続いて行きます。
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農業の危機……
WTOによるグローバリズムによって瑞穂の国・日本の原風景でもある稲作文化が崩壊されようとしています。日本の原風景を作ってきたのは、農民が脈々と稲作を続けてきたからだという誇りを取り戻してほしい。
安い輸入衣料を買い求めながら、国産自給を求める日本の農民は生意気だと言われている。観光産業であるJR東海が販売しているアメリカ産冷凍弁当に対して、企業の有りかたに文句も言えない、罪の意識が無い日本人になりさがってしまった。
農業の価値を忘れた教育によって、都会の子供達はなにも知らずに育っていく。農業にとっては最大の危機です。
たんぼの学校…
昔の農業体験をさせる。素足でたんぼに入る感触が人間にとって大切なことを目覚めさせてくれる。
工業と農業の決定的な違い…
車産業は、目的とした物以外はつくらない。農業は収穫することによって自然が出来る。作るもの以外は価値がない今の時代の中で、農業が果たしている価値を認めさせて行かなければ……
前日28日に開催した特別企画韓国の詩人「ユン・ドンジュの詩・歌・うた」に参加された宇根さんから「農民は最後の闘いをします。闘いには豊かな言葉が必要」と発言されていました。韓国の詩人の詩に感銘されたのでしょう。
「豊かな言葉となって説得力を持つ。」
大母、肝に銘じておかねば…