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2003-08-19

いのち育つ季節の中で

2003.7.6〜7.10

民衆交易・韓国赤とうがらし生育視察訪問
  

西大門刑務所記念館

日本語で説明して下さる男性の厳しい口調に、立ち止まり考える時間はありません。処刑場から展示館横を通り、女性地下監獄舎に向かいます。ソウル独特の岩山の荒々しさが今までとは異なり、怒りに固まった拳のように見えてきました。地下監獄舎を見つめる韓国の友人達の悲しそうな表情を忘れることはできないでしょう。

昨秋訪問した独立記念館は、西大門刑務所で死亡した18歳の抗日闘士・女性ユ・ガンスンさんを称え、彼女の故郷に建立されていました。

広大な土地に新しい建物。民族の誇りを取り戻すという国民の強い思いが随所に配置された展示でした。未来に向けて進む、進んでいけると思える場所でした。

ガイドの方と別れ、西大門刑務所記念館出口付近で記念写真を撮り、隣接した駐車場に向かいます。厳しい口調の説明の響きを思い出しながら、見学してきたばかりの網走刑務所と同じ設計者による建物が立ち並ぶ敷地を振り返りました。伝染病・ハンセン病隔離病棟。隔離病棟の近くに洗濯するための水場がありました。刑務所であっても生きていた人間の営みの跡が有りました。

そして、死んでいった人間の跡、いいえ殺されていった人間の跡もたしかに有りました。1908年から実際に使われ、この地で大勢の烈士が亡くなっていった重み……。その跡は打ち消そうとしても消えることは有り得ません。魂の叫びが聞えてくる場所、西大門刑務所記念館。

お世話になった皆様 ありがとうございました。

これからの交流を通して

むくげの花が韓国の国花であると知ったのは2年前の事でした。帰国後にお迎えした韓国原州の皆様に申し上げました。知らなかった……。桜が日本の国花であることを韓国の人達は知っていますよと返されてきた一言。すいません。知ろうとしなかったのです。ごめんなさい。

7月15日生協施設2箇所に「むくげ」の苗を韓国の方々と記念植樹させて頂きました。樹が大きく育っ事を願っています。生活者として素直な気づきの機会が得られるようなきっかけとして、記念植樹したむくげの苗は大切な役割を担ってくれることでしょう。

東アジアの一角、韓国・日本で有機農業に取り組む農民そして有機農産物を買う生協組合員の存在。この間の交流で韓・日を取り巻く農業・環境・学校給食・遺伝子組換え作物・後継者不足・女性運動等同じ課題を抱えていることが分ってきています。

何を大切に暮らしていくのか。暮したいのか。
2000年12月から始まった韓国の皆様との交流は、お互いの存在をしっかりと認め合い、お互いの向上心を高めあう関係へと進んでいます。両国の皆様との交流を通し、私達を取り巻く課題解決へ向けた連帯運動となっていきつつあります。遺伝子組換え作物反対運動がその実例です。

民衆交易赤とうがらしを題材にした様々な企画を通して、地域の中で、両国の中で予想を越えた新たな出会いが始まっています。歴史を振りかえり真実を知る。韓国の人々が受けた痛みを忘れることなく、未来に向けた生活者達による民衆交易の多様な展開の芽が育ってきています。

2003.8 山口節子


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